・・・14人の住宅作家と建築屋が本音で語る家づくり・・・
 
▼ 2008.09.24 Wednesday:「リーマン+メリル」ショック
「リーマンブラザーズ破綻」「メリルリンチの身売り」というニュースは、先週の日曜日に飛び込んできた非常にショッキングなものでした。

なになに、アメリカの投資銀行が破綻したからと言って、我々の仕事や日常生活には影響ないもの・・・。
私もそう考えたいとは思っていたのですが、この問題、なかなか根が深そうです。

元を辿れば「サブプライムローン問題」が発端です。

比較的所得の低い人向けに融資した住宅ローンの焦げ付きが、昨年頃から問題になっていたのは皆さんご存じの通り・・・。

アメリカで住宅を持つことは資産を持つこと。
住宅ローンで購入し、ローン残高が減ってくる一方で、建物の資産価値は下がらない。

例えば2500万円で購入した住宅が、ローン完済時には2300万円で売却できたりする。
すると丸々2300万円の現金が手に入る。
いえ、場合によっては購入当時の価格以上の値が付いたりもする。

きちんとメンテナンスと手入れをしていることが前提ですが、今の日本では考えられない、「ホント羨ましい事実」がある(あった)のです。

こんなアメリカの住宅を取り巻く背景から、少しぐらい無理をしてでも住宅ローンを組んで家を買おう。
好景気が続く中で、一般消費者にもちょっとバブリーな気持ちが無かったとも言えないと思いますが、その「無理」がほころび始めた・・・言わずもがな。

アメリカ発の金融不安が懸念される中、この1週間の内に、AIGへの公的資金の融資の決定や、政府基金(5兆円)を使う方針決定など、アメリカ政府は金融安定の対策を矢継ぎ早に発表しました。

しかしながら、これらの処置もカンフル剤!?とも思えなくもありません。
元々は、私たちに最も関連の深い「住宅ローン」の焦げ付きから端を発していると考えれば、いくらアメリカの話しとは言え、身の引き締まる思いなのです。
Posted 15:34|No.907|福田明伸よりcomments(0)
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▼ 2008.10.01 Wednesday:住宅の寿命

日本の住宅の建て替えまでの寿命は、せいぜい30年と言われます。
アメリカでは55年、イギリスでは77年。

木造が主体のアメリカと比較しても、25年もその寿命に差が出ているのです。

単純に、アメリカで一つの住宅が寿命を全うするまでに、一方の日本では、一度建て替えた上に、その建て替えた住宅もそろそろ寿命を終えようとしているのです。

・・・何ともやるせない事実です。

これまでの日本の住宅業界は、アメリカのビジネスモデルを理想としてきました。

2×4(ツーバーフォー)工法の導入から始まって、最近では高気密・高断熱の概念までも・・・。
私もその例に漏れず、全米ビルダーズショウ(通商:NAHB)を訪れた際、ダラス、ボストン、シアトル、サンフランシスコと・・・様々な住宅を視察しました。

ブログの写真はもう10年前になりますが、当時、ボストンの分譲地を訪れた時のものです。

くしくも日本では、退任した福田首相の掛け声の下、「200年住宅」をキーワードにした長期優良住宅の法案が準備されてきました。
日本も欧米に見習うべく、いよいよ住宅の長寿命化に本気で取り組みはじめたと言えるでしょう。

しかしながら、住宅の本質を求めて行く中で思うことがあります。

高温多湿、超狭小・高密度の日本の家づくりにおいては、この国の風土に合い、消費者である国民本位の、本当の意味で「長寿命の優良住宅」を我々つくり手は供給しなければならないと・・・。

SE構法が200年住宅構想の一旦を担う、「第1回 超長期住宅 先導的モデル事業」に採択されました。

混沌とした日本の家づくりに閉口し、羨望の想いでアメリカを訪れたのがもう10年前。

この10年で日本の家づくりは様変わりしました。

・・・と同時に、今年は家づくりの大きな転換期にあると強く思います。
Posted 13:36|No.921|福田明伸よりcomments(0)
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▼ 2008.10.06 Monday:いい音楽と・・・vol.1
あれは確か02年・・・随分と昔の話で恐縮です。
JAZZ好きの私は、アマゾンの新譜紹介にあった「ノラ・ジョーンズ」という、当時聞きなれないアーティスト名のアルバム・ジャケットに一目惚れ(照)。
いわゆる「ジャケ買い」ってヤツです。

そして、何と初来日のコンサートで来阪するらしい情報も入手。
その日は仕事も早々に切り上げ、チケットも持たずダメ元で向かった大阪厚生年金会館・・・。
運良く、当日券で滑り込み入場することができました!!

当時、グラミー賞を総ナメにする(03年)前年でしたが、会場には仕事を終えたOLやサラリーマン、老若男女が長蛇の列をなしていました。

期待の大きかったコンサートの内容はと言いますと・・・。

その期待に反して、正直つまらなかったんです。
理由は・・・「まるでコンサート会場でCDを聞いている」みたい。

既に、もう何十回とも聞き込んだデビューアルバム。

生で歌っている彼女の歌唱力は、CDかと聞き間違える程・・・か、完璧です。
しかし・・・全くと言って良いほどアドリブが無い。

ピアノを弾き語る彼女のスタイルでは当然なのかもしれませんが、パフォーマンスも何も無い・・・。
それにMCもほとんど記憶にありません。

大ホールの2階席だった為、小指の先程の大きさでしか見えなかった恨みでも何でもなく、完璧さ故にライブの臨場感や興奮が伝わってこないものでした。

その後、私は彼女のコンサートを観る機会には恵まれていませんが、観る人・見る場所によって大きく評価が分かれるようです。

しかし、お気に入りのアーティストの一人ですので、これからの季節、家でお酒でも飲みながらゆっくり聞きたいですね。(そんな時間に帰れないのが実情ですが:苦笑)

やっぱり、いい家にはいい音楽が似合います。
Posted 09:40|No.932|福田明伸よりcomments(0)
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▼ 2008.10.14 Tuesday:事故米騒動と家づくりの教訓
いわゆる「事故米」問題。

最近ではニュースの扱いが小さくなってきたように思えるのですが、私たち食の消費者に根源的な問題を突き付けた未だ未解決の大事件です。その中でも、一被害者である老舗の和菓子屋さんや、名の通った酒造メーカーさんの社長さんが深々と頭を下げる謝罪会見を見ると、私も他人事ではないと思えるのです。

・・・それは、私自身のある苦い教訓からです。

ある日、お引き渡しから2年が経つT様から1本のお電話がありました。
「塗り壁からやと思うけど、時々その粉が床に落ちてるの。一度確認してもらえないかしら・・・」

原因が掴めないので、とにかく訪問。奥様からその粉が落ちていたという数か所を教えていただき、詳しく観察。
2ミリほどの虫孔が発見され、その下には木くず混じりの粉が・・・ということは「キクイムシ」。
そしてその種別は「ヒラタキクイムシ」と判明。
骨組みに用いる杉や松や桧、外壁下地に用いる構造合板などの針葉樹は食害がないとのことなので、多種の木材を用いる木造住宅ですが、おおよそ部位が特定できそうです。

早速、専門業者と床下や天井裏を調査。その結果、発生原因は下地材に用いた1枚の「ラワンベニヤ」からだと判明。
しかしながら、その完全駆除には「ガス燻蒸(くんじょう)」という大掛かりな方法を用いることに。
その作業は大変骨の折れる作業でした。
何よりT様ご家族には、作業中は外泊いただくなど大変なご迷惑をお掛けしたにも関わらず、快くご協力いただけたことに何より感謝です。

約2年掛かりでしたが、その後は再発生もなく一安心。
たった1枚のラワンベニヤから発生したT様邸のキクイムシ騒動。
シックハウス法が施行され、人体や室内空気環境に良かれと「F☆☆☆☆」なる薬剤処理程度の低い材料を使ったのが裏目に出た結果でした。

この材料の納入した材木店も、この騒動の時点ではすでに廃業していた為、流通の経路を辿る術もなし。
また、この木材店も材木は木材市場から仕入れていた筈ですので、想像するに、当社と同様な被害を被った先もあった筈です。

当社ではこのキクイムシ騒動を教訓に、ラワンなどの輸入材の広葉樹材料を用いるのを極力避け、針葉樹材料を用いるか空気環境に悪影響の無い防虫合板を用いています。
また、業界も重い腰を上げはじめ、まずは構造材の流通履歴(トレーサビリティと言います)の整備を進めています。
ちなみに、当社が標準で用いるSE構法の骨組は、このトレーサビリティの仕組みが既に確立しています。

「食」の安全を脅かすニュースが絶えない昨今ですが、「住」における安全確保はニュースになってからでは手遅れです。
また、取得してから長期間保存される住宅は、新築時のトレーサビリティはもとより、取得してからの住まい手側の履歴管理も重要です。

近々法案化される予定の「200年住宅」。
この構想における「志し」も「課題」も、これらの教訓から学ぶべきところが多いのではないでしょうか。

AKINOBU FUKUDA

※写真:事故米の混入で頭を下げる青柳総本家の後藤敬社長(YOMIURI ONLINEより)
Posted 10:46|No.953|福田明伸よりcomments(0)
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▼ 2008.10.20 Monday:エコとエンターテイメント
さる9月28日、シンガポールで世界を驚かせたイベントが開催されたのは皆さんご存じですか?

1950年の初開催という歴史あるモータースポーツ、その一つがF1(Fomula One)ですが、このF1史上初めての「ナイトレース」なるものでした。
それは世界中の誰もが初めて目にする美しくて幻想的な光景ながら、どうも素直に喜べない複雑な想いで見ていました。


自動車のナイトレースと言えば、有名なところでは毎年6月にフランスで開催される「ル・マン24時間レース」がありますが、今回のF1はそれとは比べものにならない演出が用意されていました。

まず、シンガポール市内のマリーナ・ベイ・サーキットは100%公道です。
普段は公共の生活・産業道路として、自動車やバス、自転車などが通行している道路を一時的にF1グランプリのサーキットとして使用するのです。

しかも午後8時スタートのナイトレースです。
気になる照明ですが、そもそもF1カーには車載ライトが備わっていません。
そこで、コースとピットレーン全体を、4m毎に高さ10mの照明によって照らすという発想に至ります。 
2000ワットのハロゲンライトを1500機で照らされる3000ルクスという明るさは、通常のスタジアムの4倍の明るさという、昼間と比べても遜色のない程の明るさだということです。

美しいシンガポールの夜の街中を、F1カーが轟音を響かせて疾走する様は、非現実感が漂い、国家挙げての観光イベントとしては大々成功だったようです。

しかしながら、人工的な照明に頼った安全性の確保とエンターテイメント性の演出、その両立の為にどれほどの「CO2」を排出したことでしょう!?
巨額を投じながらも、世界の省エネルギー潮流には間逆のイベントだったことは間違い違ありません。

私も物心ついたころから大好きなF1レース観戦ですが、今回のシンガポールの(わざわざの)ナイトレース企画には、どうも腑に落ちないものがありました。

皆さんはどう思われましたか?

いくら世界的エンターテイメントとは言え、環境に対する配慮や危機感が希薄なのは如何なものかと・・・。
数年後にはソーラーパネルを積んだ電気仕掛けのF1カーが、太陽光が降り注ぐ日中にのみ無音で疾走するという光景になるかもしれません(泣)。

AKINOBU FUKUDA

※上記写真は、http://www.boston.com/bigpictureより転載しています。
Posted 10:50|No.954|福田明伸よりcomments(0)
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▼ 2008.10.29 Wednesday:米づくりと家づくり
兵庫県の丹波に、ご本人いわく新米農家(今年7回目の収穫)の藤田剛さんという方が居られます。
既に御存じの方も居られますが、無事竣工を迎えられた私からのお礼として、ささやかながら、その藤田農園で作られたお米を差し上げています。

丹波地方と言えば近畿有数の穀物の産地ですが、その中でも藤田さんの田んぼの上には、春はツバメが舞い、夏にはホタルが光り、秋にはトンボが飛びます。

「え〜っ、田舎の田んぼやから、当たり前やろ!」
・・・実は最近まで私もそう思っていました。


その藤田さんの田んぼで実った稲は、ちょうど収穫期を迎える頃になると大変です。
野生のシカに食べられ、イノシシに食べられ、人間が刈り取る前に野生動物たちに狙われてしまい、予定通りの収穫量がなかなか見込めません。

京都府の平均収穫量が、1反当たり(反:たん≒991.74平方メートル)、505キログラムなのに対して、藤田さんの田んぼは240キログラムと、半分にもなりません。

このように収穫量(生産性)が低いことを、当の藤田さんは仕方ないと思っていて、自然な農法による米づくりでこの程度の収穫量になることは、避けられないことだと思っているからです。
その自然な農法とは・・・

★農薬は一切不使用
 →合鴨(アイガモ)くんに除草してもらいます
 →生産性が悪いのは、合鴨が泳ぎまわれるように稲の間隔を広くしているのも理由の一つです

★肥料も一切不使用
 →化学肥料・たい肥なども含め一切の肥料を使わないので、有機農法とも違います
 →水と土と太陽の恵みのみでも十分育つと藤田さんは言います

・・・そうなんです。
藤田農園の田んぼに、ホタルやトンボが飛び、たくさんのツバメが舞うのは、まさしく自然農法の田んぼだったからなんです。

ただ、この自然農法の影の立役者である合鴨(アイガモ)くんですが、柵で囲ったりして藤田さんも野生動物から守ってあげているのですが、可哀そうなことにイタチなどにどうしても食べられてしまう・・・のだそうです。

なんと、毎年100羽以上が犠牲に・・・(泣)。

生産性が悪く、高コストになりながらも、藤田さんが自然農法による米づくりをされているのは、「自然に極力近い環境でお米を作りたいから」、また決して最高級で一番美味しいお米だとは言えませんが「皆さんに安心して美味しく食べてもらいたいから」、という想いだそうです。

また、藤田さんのお米には、「平成??年度 特別栽培稲作 栽培実績」という履歴表が同封されていますが、これはまさしく家づくりにおける「??邸 トレーサビリティー(流通履歴)」に他なりません。

農家と工務店、米づくりと家づくり、立場の違いはあっても、これらの信念に共感して、私もささやかながら応援させていただいている訳です。

藤田さんの合鴨米に同封されるお手紙にはこんな一文が添えられています。
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このお米を食していただくことにより、環境にやさしい農業にご協力いただいたことになります。
つきましては、カエルやトンボ、またツバメと共にお礼を申し上げます。
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当社お施主さんのみなさま、丹波で真面目にコツコツと栽培される藤田農園「合鴨米コシヒカリ」、引き続きご愛好お願い致します(笑)。

AKINOBU FUKUDA

※写真は雑草をついばむ合鴨たち(藤田農園提供)
Posted 09:54|No.969|福田明伸よりcomments(0)
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「つくり手の会」のメンバーです。「本当の家づくり」を本音で語ります。
(2016年2月2日撮影)