投稿時間:2011/3/1(火)23:21
投稿者名:管理人
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タイトル: 2011.2.19

剛柔鶴子師範主催(今はK氏預かり)のIKO黒帯研究会に参加してきた。
この帯研は毎月一回行われているのだが、複数の団体から曲者&ツワモノが
集まるので、毎回非常に楽しみにしている集まりである。

ここ最近では、皆で相手を交代しながらバンバン回して自由組手を行うのだ
が、他団体の方々と掌を交えるのは大変に勉強になる。
戦いながら「今の、それどうやったの?」等と、良いところや気になるとこ
ろがあった場合に、皆で相互に技術を教え、公開し合うのだ。
今までにも、寸止めやフルコン、那覇手や首里手の空手以外に、テコンドー
のお偉いさん等も参加され、実に色とりどりな組手体験をさせて頂いた。
やはり、知らない戦法や技には不覚を取る可能性が大となるわけだが、そこ
で自流派の戦法理念に照らし合わせて対応策を練るのが、実に面白い作業と
なる。
また、「何であちらの流派ではあの様にするのに、うちの流派ではこういう
具合にするのか?この違いは何故なのか?」等、考える機会になるし、
更には自分の流派への考察を深める絶好の機会と成り得るのだ。

あれは凄いな〜。成る程、そういう使い方だったのか。
こうすると一層良くなるが、型がこうであるのはこういう理由からであった
のか!
等など、双方の立場に立ってみて比較研究することにより、新たな開眼(私
でいうところの電波着信)の機会に大いに恵まれるのであった。

実は私は個人的には、流派や団体には余り関心や拘りが無い方である。
武の本質は、流派の種別ではなく技が実用的であることが第一義と考えてい
るため、乱暴にいえば空手を稽古、指導している意識すら極めて希薄なの
だ。
まあ、結果として縁もあって那覇手系統の剛柔流に自然回帰している訳なの
だが。
この気質のお陰か、他団体や他流派、他武術等と、種別の垣根を超越して交
流するのは、殆ど苦にならない。
それどころか、非常に楽しみですらあるので、お陰で様々なデーター収集が
可能となり、己が足りない点を省みるまたと無い好機となっている。

今回は、対戦相手から面白い指摘を受けた。
実打ルールであったので、安全対策として皆は一様に背足と脛のサポーター
を着用しているのだが、私はそれらを着けていない。
これで怪我を負ったことが無いので、普段から不要であったからだ。
これを指摘された時に、怪我をせずに済んでいるのは何故なのか、一つの説
明が浮かぶと同時に、もう一つの疑問が脳裏に浮かび上がった。

剛法(打撃)戦闘では、私は主に首里手の戦法を用いて戦うようにしてい
る。
遠距離戦法であるが故に、接近戦にもつれ込んで、打ち合いや蹴り合いにな
る機会が皆無であるのだ。
神速で踏み込み一合して決着する場合が多いので、ローを蹴られる可能性が
低く、結果として防御でカットした時に負傷することも無くなるのが、サポ
ーター無用の理由だと思う。
しかし、私は本来は剛柔流であり、接近戦が身上の戦法なのだ。
接近戦ともなれば、打撃の応酬になるのは必然だが、これでいて怪我が無い
のは何故だろうかと、ふと考えた。

しばらくして思いついたのであるが、普段の組手では柔法を併用している為
であろうか。
捉まえるか、四つに組んでしまえば、そうそう自由な運足は不可能となる。
そればかりか、投げ飛ばされないように踏ん張っていなければならないの
だ。
この状態から蹴り突きを出そうとすれば、当然対手に感ずかれ対応されてし
まう。
それ故に剛柔流では止めの剛法は、関節技等の柔法で動けないようにしてか
ら仕掛けるのである。

接近戦での剛法攻防の応酬は、非常に手足の負傷を招き易い。
両手足の指の骨折回数は、20本の倍の指をもってしても数え切れない。
今までに散々な経験をしてきたので、最近では無意識の内に避けていたの
だ。

柔法の許されぬ剛法ルールの組手となれば、ここは割り切って首里手戦法を
採るべきなのかもしれない。
しかし、私とてかつては接近戦での剛法攻防を学んだ者としての矜持があ
る。
同時に、自流に拘ってみたい興味も沸き、心が揺れるところでもあった。
なに、いけるさ、いや試してみるさ!

ビシ!「痛!」
バシ!「あた!」
ガキン!!「アウチ!!」

結果は、数手交わしただけでこの様である。
ラッシュの回転と、踏み込みを最低限に省略した故の高速の攻撃に、反応が
付いていかないのだ。
フルコンのように防御を固めて打ち合うのが良策かもしれないが、ここは一
撃毎に対応して防御、反撃していく。
それにしても、空手は一撃必倒とはいうものの、こう距離が近いと踏み込み
が活かせず有効な一撃が入れ難いので、どうしても連打に頼らざるを得なく
なる。
そうこうしている内に、右足下部にローキックを貰った。
軽いローではあったが、切れがありスナップが利いていた。
この距離での剛法戦闘は、予備動作も無いし、フックや回し蹴りは周辺視野
の外側から飛んでくるので、非常に見切り難いのだ。

戦闘に支障は無かったが、たった一発のローが予想外に効いた。
一週間程、足を引きずった状態が続いたが、お陰で良いガマク歩行の訓練と
なった。
感謝である。

今後は剛法限定での接近戦が課題となりそうだ。
入り身と零の理は未完成だし、やはり足払い位しかないかな・・・。
思わず、マウスピースと足サポーターが欲しくなる。