投稿時間:2011/2/2(水)14:25
投稿者名:管理人
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タイトル: 2011.1.31

KJR東京の練習会にノコノコとお出かけ。
我ながら、相変わらずの身の程知らずの恥知らず。
たった一つの命を捨てて、生まれ変わった不埒な体。
出稽古の恥はかき捨てとばかりに、ドボンとダ〜イブ。

会場には一番に着いたが、集まってくる面子を見ていると、う〜〜ん、皆ゴ
ツイ!
アップからミット打ち込みなど、ガツンガツンといい音が周囲に響き渡って
いる。
う〜〜む、こんなのは貰いたくないのう!なとど内心で独り言。
「さあ、やりましょう!」と声を掛けて頂いたのは、私が最も恐れていたP・
A氏。
武神、鋼の肉体、恐竜界のブロントサウルス、背中に “鬼の貌” を持つ
男、強化外骨格○○など、彼を称える表現には枚挙に暇が無い。
見よ!彼の筋肉美!!
どんな鍛え方したらこうなるんだよ!?
前から叩いても、後ろから叩いても、こっちの拳が折れそうじゃないか。
いや、それどころか金属バットでも通じない予感と確信がある程だ。

剛法(打撃)戦闘だが、こんなのとインファイトしたら、数秒も保たずに塵
芥と化すであろうことは、幼稚園児にだって分かる話だ。
だってまさにTVや漫画に出てくるヒーローそのものなんだもの。
仕方が無いので、門外漢ながら首里手の物真似をして、距離を取って遠距離
から攻撃を決行。
こんなのに突っ込んでいくのは嫌だな〜、と内心では恐怖しながら、ポーカ
ーフェイスで踏み込んでいく。
捨て身で真っ直ぐに踏み込みながら、入り身等を使って死角に入る。
ピーター・アーツ氏はこの手の戦術戦法には不慣れなようだ。
何とか、事無きを得て二分間の組手が終了した。

続いて二人目。
うわお!
以前、背中に「獣道」の二文字を背負っていた危険人物ではないか!
ファイト・クラブの折には対戦を避けて事無きを得た人物である。
そうか、今日がその時なのか。
定めとあれば、心を決めよう(そうとしておいてくれ)。
引き続き、首里手戦法でBNZ作戦である。

しかし本来は私の流派は剛柔流である。
那覇手に属する当流は、接近しては柔法で制して剛法(打撃)で仕留めるの
がセオリーだ。
「法は剛柔を呑吐す」の格言が、流名の元となった訳である。
寸止めで突いた後に、一瞬居着いてしまった。
普段の癖で、無意識に柔法に持ち込もうとして、動きが止まったように思
う。
その瞬間に電光の投げを喰らった。
何しろ対手は、柔術柔道を指して獣道と称するようなターミネーターだ。
押さえ込まれたら間違いなく殺される。
投げられた勢いを利用して投げ返して?距離を取る。
そんなこんなをしている内に救いのゴング!
「止め!」の声が「カ−ン!」といった鐘の音に聞こえたものである。
考えたらこれは剛法戦だったのね。
どうやら柔法は加減して貰ったようだ。
だが、仮に柔法を用いたとしても、果たしてこの様なグラップラー相手に、
自分の柔法が通用するものか、どうか。

剛柔流では投げ技はあっても受身技が無い。
これは投げさせない技法が特化しているからだ。
ただし殆どの技が殺傷を目的としており、危険過ぎて稽古向きではないた
め、禁手とせざるを得ない。
普段の稽古では、柔術や柔道モドキの技を拝借して戦っている。
到底、本職のグラップラー相手には、どうにも通用する気がしない。

仮に実戦だとしても、少々の約束組手のみで稽古している技が、果たして彼
に通用するものか、不安が残る。
乱捕りや自由組手用の技と合わせて、これらは今後の重大な課題となるであ
ろう。
早急な対応策が必要だ。

続いて三人目。
こんどはマイク・タイソンの登場である。
もう、どうにでもしてくれ!

被弾に耐えるよう、ピーカブー・スタイルでタイソンばりに前に前にと詰め
て来る。
「間合いに入ったら打つ、間合いに入られたら打つ」が首里手の信条だが、
戦闘開始時の間合いが既に接近戦。
初撃で仕留めようにも、フルコンルールだと開始位置が非常に近い。
当然、接近戦となり踏み込みが掛けられず、私の首里手モドキの突きでは、
威力不足となる。

運足で距離を取りアウトボクシングすれば、一撃の好機が来るのかもしれな
い。
しかし私の場合、那覇手の比較研究のための首里手であった。
モドキの私ではそんな考えさえ思い付かなかったのである。
人間、現場で切羽詰れば、そんなものかも知れない。

これはいよいよ、接近での剛法戦闘突入か?
接近しての剛法のラッシュは、もう20年近くご無沙汰で、正直言って付いて
行けない。
接近戦では、猿臂打ちと膝蹴りと頭突きが三種の神器である。
接近戦を専らとする剛柔流では、柔法以外にもこれらの攻防に特化している
のだ。
しかし急激な状況変化に戦法変更が追い付かない。

そうこうしている内に、左わき腹に膝蹴りを貰った。
「エフッ」と咳き込み、肺の空気が押し出される。
毎回の事だが、この手の膝蹴りは目が追い付かず、反応が出来ない。
フルコン系の猛者達は、接近戦でのトリッキーな蹴りに対応するため、防御
を固めたままで打ち合っているのも頷ける。
柔法有りのルールであれば、当然組み討ちにもつれ込むのが自然だ。
それ故に、投げられないように踏ん張りつつ剛法を仕掛けねばならない。
従って攻撃の予備動作の挙動が大きくなり、此方も対応が可能になるのであ
る。
出稽古では毎度に膝蹴りを貰ってしまうのだが、この辺りの相違と理解不足
が原因のようだ。
実に良い勉強をさせて貰ったものである。

剛法戦闘では首里手、及び自由組手で使用可能の柔法の充実が今後の課題で
あろう。
無論、実戦を想定した剛柔法の稽古も不可欠である。
課題は嫌になるほど山積みだ。
しかし、一つ一つが楽しく、奥深くてやり甲斐があるのが良い。
何とも先々が楽しみである。

終了後に皆で酔研へ行く。
実に気立ての良い男達である。
共に飲んだ沖縄黒糖梅酒は最高の味であった。
飲み放題、食べ放題で3千円未満の料金である。
和民も中々にやるものではないか。
ご機嫌な足取りで家路についた。