投稿時間:2008/11/27(木)17:25
投稿者名:管理人
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タイトル: 基本

基本とは実に厄介だ。
一番最初に習うものだが、応用の基になるものであり、熟達しても続けなけ
ればならない。
初歩でもあるが、決して簡単なものではないのだ。

型でも一番簡単な「太極上段」などは特に神経を使う。
開手型と違ってシンプルなため、格好を付けて誤魔化す事が一切できない。
まさに基本の塊のような型である。
これを人前で演武してみろといわれるのが何よりも苦痛だ。
仕方が無いので、己に出来を問うつもりで自らを鼓舞しつつ行うが、決まっ
たと思えるのは稀である。

だから私は応用の時も、自在に技が発揮できないのであろうかと思う。
完璧な基本の上に成り立つ適切な応用であれば、たとえ実戦や自由組手の最
中であろうと、教科書のように動けるはずである。
数手先を読み切る名人棋士のような勝負が可能なのだ。

考えてみれば、空手の応用(戦略としての古伝技法の意味)のあまりの素晴
らしさに頼りきり、基本を疎かにしていた気もする。
なんと未熟なことか・・・。

以前に「空手教室」の教材を作っていた時の苦労を思い出した。
「空手講座」は応用が主であるため、さした苦労もなく楽しい制作である
が、基本専門の「空手教室」ではトコトン閉口したものだった。
撮るビデオ、撮るビデオ、全て気に入らない。
「俺って、こんなにも出来なかったっけ?」と嫌気が差してくる。

あの時ほど、空手を辞めたくなった時はなかった。
試合や組手で惨敗するどころの話ではなく、武才の無さにえらく落ち込んだ
ものだった。
睨み付けたカメラのレンズを弟子の目だと思って、何とか乗り切ったものだ
った。

今一度言おう。基本、忘るるなかれ!

ビデオをお持ちの方は、指導教材を作るつもりで自分の基本を撮影してみる
事を是非にお勧めする。
必ずや素晴らしい経験となり、修行の糧となるであろう。




(那覇手的には楽なんだが・・・)